研究概要 |
都市構造をコンパクトにし,移動を容易ならしめるためには,自動車などの私的交通手段に頼らなくても,自由に移動できる環境が必要である。本年度は,高齢者や障がい者の交通需要の潜在化の状況と,これを顕在化するための都市交通システムのあり方という視点から研究をすすめた。 電動3輪車を利用したタウンモビリティシステムについては,都市中心部内のバリアフリー化や,タウンモビリティオフィスの設置だけでは十分ではなく,外出に困難を有している人のために,中心部まてのアクセスサービスや付き添いサービスが必要であることが明らかとなった。 また,移動に困難を伴う人のための交通手段として,近年介護タクシーが普及しており,通院という限られた目的ではあるが,自宅から目的地までの移動手段として高く評価されていることが明らかとなった。さらに2001年に施行された交通バリアフリー法では,公共交通のバリアフリー化において,新規に購入するバスをノンステップまたはワンステップにすることが規定されているが,車いす利用者などの障がい者がこうしたバスを利用するためには,バスのステップの改善だけではなく,こうしたバスが運行しているバス停までのアクセスサービスが必要であることが明らかとなった。 これらのことから,高齢化がますます進展するわが国め都市において,交通低抗をできるだけ小さくし利便性を高めるためには,空間的にも,機能的にも,コンパクトな都市づくりが必要であり,さらに交通面からは,都市内の移動を支援する公共交通の充実や,そうした交通システムまでのアクセス支援をあわせて行う必要があることが明らかとなった。
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