研究概要 |
本年度は、(1)沿岸域の環境価値の定義、(2)アンケート調査の設計(プレ調査)、(3)アンケート調査の実施(本調査)を行なった。それぞれの内容は以下の通りである。 (1)沿岸域の環境価値の定義 厚生経済学の分野で用いられている補償的偏差の概念を応用して沿岸域の環境価値を定義した。ここでは、沿岸域の環境を破壊するような重油流出事故に対応した政策に対する支払意思額(WTP:willingness to pay)および奉仕労働量(WTW:willingness to work)で定義した。また、WTPとWTWによる定義がどのような関係にあるのかを厚生経済学的に明らかにしようとしたが、不明な部分が残された。なお、環境価値の定義に関する成果については、裏面に示す図書「環境経済評価の実務」にまとめた。 2)アンケート調査の設計(プレ調査) 重油流出事故に対応した政策に対するWTPおよびWTWを知ることに焦点を当て、沿岸域の各種環境価値を同時に評価するための分析モデルおよび質問方法を検討した。また、調査結果の信頼性が高くなるような調査票を設計するために、名城大学の学生を対象としたプレ調査を実施した。分析モデルに関する成果については、裏面に示す論文「コンジョイント分析による伊勢湾の環境価値の経済評価」にまとめた。 (3)アンケート調査の実施(本調査) (2)の検討結果に基づいて調査票を作成し、アンケート調査を実施した。当初は郵送調査を予定していたが、有効回収率や研究補助費(発送作業やデータ入力作業に対する謝金)の面で有利なインターネット調査を利用した。これにより全国に住む約1,000人より回答を得た。このデータ解析は来年度に行なう。
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