研究概要 |
本研究では、海洋上の重油流出事故による沿岸域の環境災害に対する人々の意識(精神的被害を含む)に焦点を当て、その金銭的評価ならびに環境災害防御策の費用便益分析を目的として、以下の手順で研究を行なった。 (1)沿岸域の環境価値の定義:沿岸域の環境価値について、沿岸域の環境を破壊するような重油流出事故に対応した政策に対する支払意思額(WTP : willingness to pay)および奉仕労働量(WTW : willingness to work)で定義した。 (2)アンケート調査の設計(プレ調査):重油流出事故に対応した政策に対するWTPおよびWTWを知ることに焦点を当て、沿岸域の各種環境価値を同時に評価するための分析モデルおよび質問方法を検討した。その結果、仮想市場評価法(CVM : contingent valuation method)とコンジョイント分析法を組み合わせた独自の方法を構築した。 (3)アンケート調査の実施(本調査):(2)の検討結果に基づいて調査票を作成し、アンケート調査を実施した。なお、調査時期:2001年1月、調査対象:日本全国の男女、調査方法:インターネット調査(調査開始より24時間47分で締切)、有効回答:1,106件。 (4)沿岸域の環境価値の経済評価:(2)で構築した分析モデルに(3)で収集したデータを適用して、沿岸域の環境価値を経済的に評価した。また、地域別・項目別の帰着便益を算出し、その結果を地理情報システムで地図上に表示した。 (5)環境災害防御策の費用便益分析:(4)の評価結果に基づいて、沿岸域における環境災害防御策の費用便益分析を行った。 (6)成果報告書の作成:環境経済評価マニュアルとして役立つ成果報告書を作成した。
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