研究概要 |
すでに,我が国には高齢社会が到来している.中山間地域の現状はさらに深刻であり,超高齢社会になっている地域も多い.このことから過疎地においては高齢者対策,新しい福祉環境の整備に対する要求が高まり,インターネットに代表される情報通信ネットワークを用いた高齢者福祉行政が実行されようとしている.こういった中,本研究は,中山間地に居住する高齢者のQOL(Quality of Life)の向上を目指して情報通信ネットワークによる福祉行政,高齢者のコンピュータリテラシー,福祉情報の整備,過疎地の交通等に関する問題点の把握,解決策の考察を主目的として,訪問調査,アンケート調査及び地理情報の把握等を中心として研究を進めた.得られた結果は以下の通りである. (1)広島県内の94市町村の内48市町村がホームページを開設し,その中で高齢化福祉に関する情報をホームページ上に公開しているのは17市町村であり,「訪問介護」,「デイサービス」,「ショートステイ」に関する情報発信が多かった. (2)JR,路線バス,村営バス等のダイヤや路線等については相互の調整は不十分である.今後,広域合併が進めば,総合交通政策が一層重要になる. (3)高齢者のコンピュータリテラシー向上は、高齢者に適したハードやソフトの開発は当然であるが、コンピュータ操作指導と同時に高齢者が欲している情報コンテンツとその更新が重要であることが指摘できた。 (4)高齢者は,非日常的な情報よりも日常的な情報を必要とする傾向がある.特に健康・福祉情報は必要度が高い.情報化は高齢者のQOLを大いに高める. (5)中山間地において社会福祉政策の一つとして導入された健康管理システムの利用度は高く,政策目標は達成されている.しかし、健康管理システムや遠隔医療システム導入政策に対する金銭的評価は住民の政策に対する認知度,所得,年齢によって大きく異なる.
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