3つの都市ごみ焼却炉から採取した焼却灰を試料として、アクリル板で作成した小風洞内を用いて飛散実験を行った。試料は装置の途中から投入し、所定の距離を隔ててエアサンプラー(高さ方向に3つ)で等速吸引捕集した。捕集した試料は重量を測定し、レーザ回折式粒度分布測定装置あるいは光学顕微鏡により粒度分布を測定した。 焼却灰は冷却のため湿らせた状態で排出されるが、含水率の調整が飛散防止には有効と考えられている。そこで最も飛散可能性の高い状態として乾燥させたものを基準とし、さらに焼却炉から採取した湿潤灰を乾燥によって含水率を低下させた試料で実験を行った。その結果、飛散量は含水率と共に低下し、水分凝集による小粒径粒子(50μm程度以下)の減少とよい相関が得られた。埋立作業管理の具体的目標値として、限界保持含水率の30〜50%が得られた。 一方、飛灰は安定化処理が義務づけられている。5種の処理飛灰を入手して粒径を測定したところ、処理方法によっては飛散可能性の高い小粒径粒子の残存が見られることがわかった。また焼却施設での保管、積み替え、埋立地までの輸送の影響を知るため、振とう、乾燥を行ったところ、小粒径粒子増加の可能性が示唆された。飛灰はダイオキシン濃度が高いために、十分な安定化処理と搬出時の注意の必要性を示唆した。
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