本年度は、定期的(2週間に1回程度)に浸出水を採取できる浸出水処理施設より浸出水を採取し、凝集沈殿操作によるSS・BOD・COD・色度の除去性状について、室内実験を行った。これらの対象水質の低減によって、共存して挙動すると言われるダイオキシン類(DXNs)の浸出水中からの除去を図ることを目的とした。 浸出水は廃棄物処分場の集水管の出口にて採取した。この際に水温を測定した。採取した試料を実験室において、SS・BOD・COD・色度・フルボ酸・濁度の測定を行った。その結果、水質は、例えばCODでは40〜90mg/L、色度では40〜120mg/L、SSで10〜mg/Lと季節変動が大きくなった。特に夏期に大きく、冬季に小さくなった。水温についてはほぼ季節によらず20〜25℃で推移していたため、寒冷気候下での低水温よる影響については無視できる条件であった。 凝集剤として塩化第二鉄を用い、まず凝集に最適なpHを決定した。凝集剤の濃度は過去に下水2次処理水を対象に行って得られていた20mg-Fe/Lと設定し、pHを種々変化させたときの残留濃度を測定した。その結果、SS・濁度についてはほぼすべてのpHで残留率10%以下となり、良好な除去効果が得られた。一方、CODと色度についてはpH5付近で残留率が最低となったが、20mg-Fe/Lの凝集剤濃度では残留率は40〜60%程度にとどまった。次にCODと色度の除去率を向上させるために、50〜500mg-Fe/Lとさらに高濃度の凝集剤を投入した場合の実験を行った。その結果、浸出水中のSS・濁度成分の除去率は凝集剤濃度が低い場合と同様に10%以下と低くなり、さらにCOD・色度の残留率は20〜30%に改善された。このようにして見いだした、濁度・SS・BOD・COD・色度除去に最適な凝集条件を浸出水を採取した処理施設での凝集運転条件と比較した結果、濁度・SSの除去に関してはほぼ妥当な条件であったが、COD・色度の除去に対してはpH及び凝集剤の投入量ともに不適であった。次年度は、浸出水中のDXNsの濃度を測定するとともに、実処理施設での凝集プロセスと砂ろ過システムを組み合わせた場合の効果について検討する予定である。
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