浸出水中のダイオキシン類はSS・濁度成分及びCOD・色度成分とともに挙動するとされている。そこで、これらの成分の凝集沈殿操作による除去特性を中心に、下記のような成果が得られた。 (1)昨年度から継続して、定期的(2週間に1回程度)に浸出水を採取できる浸出水処理施設より浸出水を採取し、凝集剤として塩化第二鉄を用いた凝集沈殿操作によるSS・BOD・COD・色度の除去性状について室内実験を行った。まず、前年度の擬集実験の結果より、BOD・COD・色度・濁度成分がほぼ50%以上除去できる凝集剤添加量である100mg-Fe/Lに固定して、凝集pHを2〜11に変化させて、除去率の変化を測定した。その結果、pH4〜5付近ですべての水質項目について除去率が最高となった。濁度については、いずれのpHでも90%以上の除去率となり、pHの影響は小さかった。しかし、COD・色度については、pH4〜5付近を除くと、除去率が50%以下となった。さらに、塩化第二鉄の最適凝集pH4〜4.5で、凝集剤の濃度を種々変化させた。その結果、季節による浸出水原水の濃度に関わらず、濁度については凝集剤添加量が20mg-Fe/L以上であれば、除去率は90%以上となった。一方、CODと色度については凝集剤添加量が100mg-Fe/Lで、除去率が50%程度になり、添加量を300mg-Fe/Lまで増やすと除去率は70〜80%まで増加した。これらの結果より、浸出水処理における凝集pHと凝集剤添加量については、濁度成分のみを除去する場合と、COD・色度成分まで除去する場合対象にする場合で大きく異なることがわかった。 (2)北海道内の自治体が管理している浸出水処理施設51カ所に凝集沈殿操作と浸出水水質に関するアンケート調査を行った。調査施設の内、4割が塩化第二鉄を凝集剤を用いていた。それらの施設における凝集pHは7〜8が60%を占め、本研究で求められた最適な凝集pHの4〜5としていたのは10%以下であった。また、凝集剤添加量は5割の施設で100mg-Fe/L未満であった。このように、調査対象施設では、濁度除去は可能であるものの、COD・色度の除去に適切な条件ではなかった。また、2001年度の浸出水処理実績では、SSについては、放流基準である60mg/Lはほぼ100%の施設が満たしていたが、ダイオキシン類削減のためのガイドラインとして提案されている10mg/Lは年平均値で8割が満たしていたが、季節変動を考慮すると2割しか満たしていなかった。 今後は、SS・濁度成分の除去の徹底に加えて、実浸出水施設でのCOD・色度成分の除去特性について明らかにする必要があると思われる。
|