廃棄物処分場の浸出水中に含まれる各種の有機系有害物質(ビスフェノールAなど)および重金属類を分析し、その水質測定結果を主成分分析で分析した。その結果、有機性成分を代表する成分と無機性成分を代表する成分の2つの主成分に分離できた。金属類の中には、鉛やすずのように有機系成分の高い処分場で高くなる元素もあった一方、アンチモンやモリブデンは、塩類とともに挙動しており焼却灰と関係していることがわかった。ビスフェノールAは、焼却灰を主体とする新しい処分場では検出濃度が低く、そのことを確認するために、東京都中央防波堤処分場で更に詳細な調査をビスフェノールAにしぼって行った。その結果、灰を主体とした埋め立て区域での検出濃度は、その他のごみを混合して埋め立てた処分場よりも低く、また、水処理工程では生物処理で十分に除去されうることをあきらかにした。また、ビスフェノールAの形態別分析の結果からは、粒子結合態や有機物結合態として存在するビスフェノールAは、全体の10%以下であり、浸出水中の主たる存在形態としては、溶存態としてこうした物質が存在していることが明らかとなった。また、処理技術としての逆浸透ナノろ過法に着目し、浸出水中に見出される各種有機系汚染物質の逆浸透・ナノろ過法による除去特性を調べた。その結果、分子量と除去率との大まかな対応関係、溶質ごとの除去特性などが明らかとなった。
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