現在、促進酸化処理法の中でもオゾン/紫外線併用処理はダイオキシン処理法として注目を浴びている。しかし、この方法では高塩素化物の方が分解は早いが低塩素化物は逆に増加する傾向にあり、オゾン/過酸化水素処理では低塩素化物が分解されやすい傾向がある。光反応では炭素-塩素結合が直接分解するため塩素ラジカルが生成する可能性がある。それでは光反応を伴わないオゾン処理では塩素ラジカルの生成、およびそれによる反応は起こらないのか。 本年度は先ずオゾン処理を廃棄物埋立浸出水等の塩類濃度の高い廃水における有害物質の分解処理技術として適用した場合を想定し、フミン酸水溶液を用いて実験を行った。オゾン処理においても塩化物イオン濃度5000mg/lにおいては全有機塩素系化合物(TOX)がpH3では242μg/l、中性付近でも66μg/lの濃度でその生成が認められた。しかし、レゾルシン水溶液ではTOXの生成は認められなかった。これらのことから、難分解性有機物存在下では中性付近のオゾン処理でもTOXが高くなる場合があることが確認できた。この生成制御のための過酸化水素添加量については次年度検討する予定である。 反応生成物の分析手法としてはハロ酢酸等についてイオンクロマトグラフィによる分離条件を検討したが、ジクロロ酢酸と臭化物イオンの保持時間が近接している。新規に購入したGC-ECD(キャピラリーカラム)を用いる手法では、既存のGC-MSよりも一桁低い濃度まで分離・定量可能である。また、ハロアルデヒド類についても新規のGC-ECDでは異性体の分離が良好であり、本年度は反応副生成物の分析手法が確立できた。 次年度はこれらの分析手法を用い、紫外線ランプの評価も行い、塩素ラジカル生成因子や反応生成物の挙動を実験的に検討し、新たな有機塩素系化合物の生成を制御する最適な処理手法を提示する。
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