研究概要 |
現在、浸出水の有害化学物質の処理に促進酸化処理が注目をされている。なかでも塩素と炭素の結合の分解は種々ある促進酸化処理法のなかでも紫外線を利用した方法が有効であるとして、注目をあびている。しかし、実廃水では高濃度の塩化物イオンを含むために、塩化物イオンの影響を把握する必要がある。 本年度は塩化物濃度が19,000mg/Lと高い実廃水について、紫外線と光触媒処理をそれぞれ行ったところ、高濃度の遊離塩素の生成が両者の処理水で認められた。それらの値はそれぞれ25、41mg/Lであった。また、モノクロル酢酸の生成濃度はそれぞれ24、28mg/L、モノブロモ酢酸は1.1、1.3mg/L、ジクロロ酢酸は3.7、21mg/Lであった。 これらの結果より、高濃度の塩化物イオンを含む有害化学物質の分解のための紫外線や光触媒処理においては遊離塩素およぴハロ酢酸等が生成され、しかも光触媒処理においてその生成量が多いことが明確にされた。これらは、pHが7以上での反応であった。 このように実廃水における有害化学物質の分解・除去だけでなく、反応生成物についても把握することの重要性が示された。しかし、高濃度の塩化物イオン等を含むことや、高濃度の遊離の塩素を含むため、分析上の間題が大きく、分析の前処理における問題を解決する必要に迫られている。 以上、本研究の重要性は確認され、より確実な実験結果と実廃水における体系的な分析システムを確立するため、研究を継続する。
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