研究概要 |
促進酸化処理法は浸出水の有害化学物質の処理に有効であると注目されている。この方法は紫外線、オゾン、過酸化水素などを組み合わせて酸化力の強いヒドロキシルラジカルを発生させる方法である。特に紫外線は有機塩素化合物に対する脱塩素化反応がある。しかし、実廃水では高濃度の塩化物イオンを含むためにその影響を把握する必要がある。 塩化物イオン濃度が19,000mg/Lと高い実廃水について、紫外線処理と光触媒(紫外線+TiO2)処理をそれぞれ行った処理水について遊離の塩素とハロ酢酸類を測定した。その結果、遊離塩素はそれぞれ25、41mg/L検出された。ハロ酢酸類については、クロロ酢酸が970、1120μg/L、ブロモ酢酸が44、52μg/L、ジクロロ酢酸が148、840μg/Lそれぞれ検出された。また、クロロホルムやブロモホルムも検出され、これらの結果より高濃度のハロゲン化物イオンを含む廃水の紫外線処理や光触媒処理において、有害化学物質は分解(例えばダイオキシン類は80%以上分解)できても逆に遊離のハロゲン類および有機ハロゲン化合物が生成することが確認された。 次に塩化物イオンを1,000、5,000、10,000mg/L含む試水についてオゾン処理を行ったところ、オゾン投入量の増加に従って遊離の塩素が生成し、その存在量はそれぞれ溶存オゾンの6、32、75%にも達した。有機物が共存する場合は共存しない場合より少ないものの遊離の残留塩素が生成され、新たにTOC1も生成するが、さらにオゾン注入率をあげるとTOC1の低減も生じた。ところが、過酸化水素の添加により遊離の残留塩素の生成を抑制でき、したがってTOC1の生成も抑制できた。これらの結果から、高濃度の塩化物イオンを含むAOPsでは遊離の塩素が生成される可能性があるが、過酸化水素の添加で抑制できること、また、オゾン存在下でも遊離の塩素は存在しており、多種類の酸化種同時一斉分析手法の開発が重要であることが示唆された。
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