日本全国の都道府県単位で産業構成に着目した物資フロー分析を行い、建設副産物のリサイクルを考慮した物質循環評価を試みた、全国平均では、1円の生産額に対して約1gの廃棄物を発生させる評価結果となったが、都道府県ごとに見ると、1円の生産に対して0.4gの廃棄物発生で済む地域から2g以上の廃棄物を発生させる地域まで、大きなばらつきがあった。さらに、都道府県ごとの製造業、建設業、鉱業について、(1)各産業に投入される総物質流入量(flow)に対する各産業から発生する産業廃棄物発生量(waste)、(2)各産業の生産額(product)に対する各産業からの産業廃棄物発生量(waste)、(3)各産業の生産額(product)に対する各産業への総物質流入量(flow)、という3つの物質循環評価を試みた。(1)については、産業ごとの「資源有効利用率」の評価となるが、「waste/flow」の平均値で見ると、製造業0.08、建設業0.07となっており、両産業に投入された資源の10%弱にあたる廃棄物が発生していることになる。他方、鉱業では、0.42と資源投入量の約40%にあたる産業廃棄物が発生していることになり、同じ第2次産業でも、製造業、建設業とは約4倍の開きがあった。(2)については、地域ごとの各産業における「廃棄物発生から見た生産効率」を評価しており、製造業、建設業では、1円の生産額に対して平均約2gの産業廃棄物を発生する計算となった(3)は、地域ごとの各産業の「省資源の観点からみた生産効率」を評価しており、製造業、建設業では、1円の生産額あたり平均約30gの資源投入が必要ということが明らかとなった。建設業については、対象とした3業種の中で最も物質循環に関わる効率が高く評価され、ばらつきも比較的少なかった。建設業における地域間のばらつきについては、建設プロジェクトの規模、建造物の種類、更新時期の違いなどによる発生廃棄物や副産物の種類が強く影響するものと考えられる。
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