建設産業を中心に、産業連関に着目した資源・廃棄物の生産・消費・リサイクル・処分に伴う移動特性を把握し、それら特性の相違を地域および産業活動の視点から考察した。重量ベースの都道府県間産業連関表を分析することにより、資源循環を以下のような5つのフェーズに分類しながら物質フローを評価することができた。1)資源・製品フェーズ(自然もしくは産業から産業に投入されるもの)。2)消費フェーズ(産業から民生に投入されるもの)。3)廃棄物発生フェーズ(各産業から廃棄物処理業に処理・処分委託されるもの)。4)リサイクルフェーズ(廃棄物処理業から各産業に投入されるもの)。5)最終処分フェーズ(企業から直接最終処分業者に処分委託されるもの)。 産業廃棄物処理処分委託量の産業廃棄物種類割合については、全国平均で建設廃材が54%を占めていた。建設業におけるリサイクル流入量については、愛知県、大阪府など大都市地域だけでなく青森県、新潟県、茨城県、島根県、岡山県、広島県、山口県など、地方においても大きな値を示した。産業・業種別廃棄物種類別の最終処分フェーズにおける流出量の産業別割合を見ると、全国平均で建設業は37%となったが、北海道72%、沖縄県74%と全国平均の2倍近い値を示す地域がある一方で、秋田県では建設業が9%で電力・ガス・水道業が74%と全く異なる傾向を示した。 以上のように、産業単位と地域単位を組み合わせた分析結果から、都道府県ごとの主力産業の生産効率や廃棄物発生特性の比重が重要な意味を持つことが明らかになった。産業廃棄物発生量のデータが利用可能であった地域のうち、ほとんどの地域で製造業由来の産業廃棄物発生量が建設業および鉱業由来の廃棄物発生量を上回った。しかし、山梨県、石川県、奈良県、沖縄県においては、第2次産業3業種の中では建設業由来の廃棄物発生が最も大きいという結果も得られた。
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