建設副産物の再利用および再使用に関わる物質フローと環境負荷の算定に関して長期的かつ広域的な観点で汎用的な評価手法を開発することを目的として、舗装発生材の廃棄およびリサイクル過程における物質フローと環境負荷量(国内処女資源採取量、国内石灰石消費量、エネルギー消費量および二酸化炭素排出量)を積み上げた基礎デタベースの構築を行った。舗装発生材については、舗装材(アスファルト混合物、セメントコンクリート)と路盤材(クラッシャラン、粒度調整砕石)に着目して新規製造と再生製造での材料生産時における環境負荷量の低減効果を定量的に評価することができた。アスファルト舗装における再生材の投入効果に着目すると、一酸化炭素排出量について42%という削減率が得られ、エネルギー消費量についても同様の結果となった。資源消費量については、下層路盤を100%再生資源で生産したと仮定したときの全層トータルでの削減率が35%程度となった。さらに、日本全国の都道府県単位で産業構成に着目した物資フロー分析を行い、建設副産物のリサイクルを考慮した物質循環評価を試みた。建設業については、対象とした3業種(製造業、建設業、鉱業)の中で最も物質循環に関わる効率が高く評価され、ばらつきも比較的少なかった。建設業における地域間のばらつきについては、建設プロジェクトの規模、建造物の種類、更新時期の違いなどによる発生廃棄物や副産物の種類が強く影響するものと考えられる。最終的には、建設産業を中心に、産業連関に着目した資源・廃棄物の生産・消費・リサイクル・処分に伴う移動特性を把握し、それら特性の相違を地域および産業活動の視点から考察した。産業単位と地域単位を組み合わせた分析結果から、都道府県ごとの主力産業の生産効率や廃棄物発生特性の比重が重要な意味を持つことが明らかになった。
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