研究概要 |
都市の廃棄物処理システム,下水処理システムを一つの都市静脈系循環システムとして捉え,両システムで回収可能なすべての未利用エネルギーと資源を回収し,相互にエネルギー源,資源として活用することによって,今後の処理技術の高度化,処理レベルの高度化によるエネルギー・資源消費量の増加を抑制できるシステムを提案することに取り組んだ. 平成13年度は下水処理場での高度処理として,処理水を修景用水に利用する場合に必要となる<砂ろ過>+<オゾン処理>+<生物活性炭処理>を導入することによる消費電力の増加分を,下水処理場内での未利用エネルギー活用による発電電力で賄うことの有効性を,処理規模25万人の下水処理施設(日処理水量127,000m^3/日,敷地面積84,400m^2)を対象に検討した.発電システムは(1)汚泥消化過程で発生する消化ガスを燃料とするリン酸型燃料電池(PAFC ; Phosphoric Acid Fuel Cell)による発電,(2)下水の位置エネルギーを用いた小規模水力発電,さらに,(3)水処理施設の上部空間及び空地を利用した太陽光発電である. 高度処理導入による電力消費量の増加は約7,400MWh/年であり,高度処理導入により下水処理全体の電力消費量は導入前(約18,600MWh/年)に比較して約40%増加する. 一方,下水処理場での発電量は燃料電池発電約6,500MWh/年,小規模水力発電約440MWh/年,太陽光発電約3,300MWh/年であり,これら発電量の総和10,240MWh/年は,高度処理導入による増加電力消費量の約1.4倍であった.また,これらの発電により,高度処理導入後の処理場全体での電力消費量の約40%を自給できる.. 以上より,下水処理システムで処理の高度化に伴う電力消費量の増加分を,下水処理場での未利用エネルギー回収によって賄えることを示した.
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