研究概要 |
本研究の今年度の目的は、主に以下の4点である。 (1)超低速ろ過法による湖沼の水質改善をマイクロコズムを用いた実験槽を用いて実験的にその効果を確認し目詰まりに関するろ材の比較(クロボク・まさ土)を行う。 (2)マイクロコズム内での水質浄化モデルを構築し、より現実に対応できるモデルを構築し、浄化シミュレーションを実施する。 (3)実際に超低速ろ過用の底面ろ床が設置されている三坂池(佐賀県嬉野町に位置する農業用水用のため池)における現場調査を昨年度から引き続き行い、窒素・リンの除去量を算定する。 (4)現場におけるシミュレーションを実行するために、三坂池での流入流出量および循環流量を観測する。 平成14年度は、マイクロコズムを用いた実証実験では、目詰まりの面から考えると、ろ床に用いるろ材としてはまさ土よりもクロボクの方が適していることを新たに確認し、より現実に即した現象を表すモデルを構築し、浄化シミュレーションを行い、運転条件に関して知見を得た。また、三坂池における現地実験では、超低速ろ過システムが稼働後のため池の状態を把握し、シミュレーションに必要な基礎データ(DTP, PTP, DTN, P T N, pH, DO, SS,濁度,TOC,クロロフィル-a)を引き続き収集するとともに、精度良いシミュレーションを行うために必要な諸条件(流入流出量・循環流量)を観測した。 本年度得られた成果を要約すると以下の4点になる。 (1):超低速ろ過法に用いるろ床材としては、目詰まりの面から考慮してもまさ土よりもクロボクの方が適していることがわかった。 (2):マイクロコズム内の現象をシミュレートした結果、最適な運転条件を検討することができた。 (3):現地(三坂池)における流入流出等の諸条件を観測した結果、窒素・リン等の除去量を求めることができた。 (4):現地(三坂池)での水質調査を引き続き行った結果、超低速ろ過法の効果を実証することができた。
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