・長期引張応力をうけるコンクリートのひび割れ抵抗性に関する実験 水セメント比60%の普通強度のコンクリートを対象とした持続引張載荷実験を実施した。引張破壊を避けるため、載荷応力レベルを引張強度の50%とし、載荷期間3ヶ月までの実験データを収集した。所定の期間引張カを与えた後曲げ試験ならびに割裂試験を行い、引張強度と破壊エネルギーを計測した。その結果、載荷持続引張力を受けるコンクリートの引張強度や破壊エネルギーが低下する傾向が確認されたが、破壊エネルギーについてはばらつきが大きいため、定量化を行うためには同条件での試験体数が2体では十分でなく試験体数を追加する必要があることがわかった。 ・自己収縮、乾燥収縮を考慮した床スラブの長期たわみの解析プログラムの開発 昨年度開発した有限要素法による解析プログラムを、コンクリートの自己収縮と乾燥収縮による体積変化の影響を考慮できるよう改良した。松崎らによる一方向スラブの長期たわみの実験結果と比較したところ、収縮特性を適切にモデル化することで実験結果との良好な対応が見られることがわかった。一方、固定端におけるひび割れと鉄筋の抜け出しによる端部の回転は応力間距離を一定と仮定して境界要素で表現することが可能であることを確認した。 ・低補強はりの長期載荷実験の継続 上記解析プログラムとの検証を目的とした、低補強単純ばりの長期載荷を継続しているが、計測器の故障により計測を終了した。これらの試験体は、ひび割れ近傍における付着劣化の影響を把握するため静的な載荷実験に資するため、載荷は継続している。
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