研究概要 |
本研究では,位相最適化手法を利用した建築物の新しい構造デザインツールの開発を行っている。位相最適化の手法としては,2次元または3次元連続体の位相最適化手法としての均質化設計法,密度法等があり,トラスや骨組などの1次元部材の位相最適化手法としてのグランドストラクチャー法がある。本研究では,これらの方法をさらに発展させ,建築物の構造デザインに利用できるツールとして一般に普及させることを目的としている。 本年度の研究成果としては,位相最適化手法を一般に普及するため,骨組構造物を対象とした位相最適化ツールを開発し,大学・高専等の学部講義・演習用ソフトとして利用できるように,開発したソフトにGUIを付加し,Webから自由にダウンロードできるようにした。また,建築物の魅力的な造形を創成するための,ボクセル有限要素法を用いた計算効率の良い3次元連続体の位相最適化手法を開発した。3次元連続体の位相最適化では,膨大なメッシュ分割が必要となるため,計算効率を改善しなければ,一般に利用できるツールとはならない。そこで,本研究では,位相最適化手法として密度法を採用し,数10万から数100万要素の位相最適化が通常のパソコンで解ける手法を開発した。また,シェル構造の位相の最適化手法も開発し,より明解な位相が得られるように,有効なフィルタリング手法を提案した。後者の2種の連続体の位相最適化ソフトについても,GUIを付加し,Webからダウンロードできるようにした。 今後は,以上で開発したソフトをさらに使いやすいようにバージョンアップしていく予定である。
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