研究概要 |
本研究では,位相最適化手法を利用した建築物の新しい構造デザインツールの開発を行った。位相最適化の手法としては,2次元または3次元連続体の位相最適化手法としての均質化設計法,密度法等があり,トラスや骨組などの1次元部材の位相最適化手法としてのゲランドストラクチャー法がある。本研究では,これらの方法をさらに発展させ,建築物の構造デザインに利用できるツールとして一般に普及させることを目的としている。 本年度の研究成果としては,まず,最適化問題の解法として,新たに逐次凸関数近似法(CONLIN法)の開発を行い,これまで開発した位相最適化のツールに適用した。その結果、従来の逐次線形計画法および最適性規準法に比較して,収束が速く,より最適な解に収束することがわかった。また,これまで開発した2次元、3次元連続体および骨組の位相最適化ソフトの概要、特徴等をまとめ,日本建築学会の技術報告集に発表した。さらに,より剛性の高い最適形態だけでなく,変形を生じさせるメカニズム形態を創生できるツールを開発し,機械学会論文集およびジャーナルに投稿し、採用された。このような形態解析は,建築物のダンパー機構の設計に応用できる可能性があり,今後の発展が期待される。 本研究は,今年度で終了であるが,一応,線形の範囲においては,構造デザインに有効なソフトが開発できた。本成果は、今年中にソフト付の著書として出版し,一般に普及させる予定である。
|