研究概要 |
火災加熱を受ける鋼骨組中の柱材の変形挙動を理想化単純化して設定したところの、材端に強制水平変位を受ける鋼構造柱部材の高温時鉛直荷重支持能力を実験的かつ数値解析的に調べ、骨組中で加熱され熱膨張したはり部材の押出し現象が鋼柱材の高温時鉛直荷重支持能力に及ぼす影響を明らかにした。 本研究では研究目的を達成するために二種類の高温時座屈実験、(1)一定温度実験と、(2)一定荷重漸増温度実験とを行った。(1)一定温度実験では、5種類の温度条件(T=常温400,500,600,700℃)と3種類の強制部材角(R=0.0,1/50,1/25(rad.))の組合せで15体の座屈実験を行い、最大荷重Pcr調べた。その結果、常温では強制部材角Rの影響により最大荷重が15%ほど低下するが、400℃以上の高温では最大荷重Pcrの低下は数%程度と僅かであることが示された。(2)一定荷重漸増温度実験では、4種類の軸力比(P/P_<yRT>=0.2,0.3,0.4,0.5)と3種類の強制部材角(R=0.0,1/50,1/25(rad.))の組合せで12体の実験を行い、崩壊温度Tcrを調べた。その結果、本実験の範囲では強制部材角Rの影響による崩壊温度Tcrの低下は10〜50℃であり、僅かであることが示された。 また、ひずみ量2%を境に階段状にひずみ速度を変化させて行ったSN490B鋼材の一定温度下(T=室温,300,400,500,600,700℃)の引張試験結果をシミュレー卜できる鋼材料の高温挙動モデルを設定し、本研究で行った二種類の高温時座屈実験のシミュレーションを行った。その結果、適切な材料データを用いた一次元有限要素法による複合非線形解析法を用いることにより鋼柱材の高温座屈挙動が正確に予測されることが示された。
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