研究概要 |
都市の規模と地震ハザードから予測される建物の被害量をある一定値に抑制するために要求される荷重の割増しを地震都市係数と呼び、その値を算定した。地震ハザードマップから,最大地動速度の500年再現期待値により,全国を5つの地域に区分した。各区域の速度の比は1.0、1.3、1.7、2.2、2.9倍とした。地震動の強さは対数正規分布、木造建物の強さは対数正規分布で兵庫県南部地震による被害調査に基づいた被害率分布を仮定した。 都市の規模は地域で異なるので,住宅・土地統計調査資料から全国694都市の住宅戸数の平均にあたる住宅総数45000戸の都市を基準として,住宅数の異なる7モデル都市を設定した。これらを全て一戸建ての木造建物と仮定して解析した。新聞報道量によるこれまでの調査から,社会に与える被害の影響が顕著となる地震被害総数の如限値を600棟であると仮定して、地震都市係数を35の地域と都市規模で算定した。 地動速度が1.7倍大きいと地震都市係数は1.6倍大きくする必要があるが、住宅数が16倍大きくなっても,地震都市係数は1.8倍となることが分かった。実際の694都市を対象として算定した結果、東京特別区で17万棟,横浜で4万7千棟,九州では,鹿児島市,宮崎市が3千棟を超える被害数となること、東京特別区では建物の強さを3.5倍すれば、被害総数を600棟とすることが可能である。ことが分かった。 各都市の地震都市係数との相関係数は、地動速度とは0.58,住宅数とは0.73で,住宅数が相関が高いこと、住宅数が10倍になると都市係数を0.77増す必要があるという結果が得られた。
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