研究概要 |
地震災害が社会に及ぼす影響を、1946年以降の地震で死者が発生した28地震について、全国紙の朝刊と夕刊の全紙面における地震後2週間の地震関係の記事を調べた。地震被害の社会への影響度を計るために、全報道量に対する地震関連の報道量の比率を地震報道率と定義した。地震後の日変化はほぼ指数関数的に減少していること、死者数が25人以上を境にして差がある結果が得られた。報道内容の51%が被害の報道で、地震の情報が15%で、救援や復旧に関する報道は少ないことが分かった。被害の内容では人的な被害が一番多かった。 地震ハザードは地帯構造区分毎に最適となるリカレンスカーブを求め、それに基づいた地震発生のモデルから、確率的な手法で、日本全国のハザードマップを作成した。 各都市で建物の被害量をある一定値に抑制するに必要な荷重の割増しを地震都市係数と定義し、その値を算定した。最大地動速度の500年再現期待値に基づいて全国を5つの地域に区分し、地震動の強さは対数正規分布、木造建物の強さは対数正規分布で兵庫県南部地震による被害調査に基づいた被害率分布を用いた。 全国694都市の平均住宅数45000戸の都市を基準として,住宅数の異なる7モデル都市を設定した。これらを全て一戸建ての木造建物と仮定し、社会に与える地震被害総数の如限値を600棟であると設定して算定した結果、地震都市係数は地動速度が1.7倍大きいと1.6倍となるが、住宅数が16倍大きいと1.8倍となることが分かった。各都市の地震都市係数との相関係数は、地動速度とは0.58,住宅数とは0.73で,住宅数が相関が高いこと、住宅数が10倍になると都市係数を0.77増す必要があるという結果が得られた。
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