研究概要 |
本研究は、建築物が、環境・景観造りに寄与し、社会的役割を果たしていくためには、構造体の高性能化・品質向上等の物的要因のみならず、外装材の色彩特性が重要になる点に着目し、当該年度は、(1)建築外装材料における素材レベルと外壁全体レベルのエイジング特性、(2)建築外壁材料における外壁全体レベルと景観レベルのエイジング特性を研究課題とした。 (1)に関しては、建築物の外装材として印象評価が良いとされるタイル・レンガに着目し、外壁素材レベルとその集合体である外壁全体レベルについて、写真測光法に基づいて色彩情報を収集し、画像解析によるシミュレーション試料の官能検査により,エイジング感及び好ましさに及ぼす色相、明度、彩度、目地の種類等の影響を明らかにし、景観材料としての色彩特性とエイジング効果との関係を評価した。なお、素材感との関係を調べるための表面分析については、経年的な表面劣化度を考慮した上でレーザー変位計による直接測定法により表面性状(表面粗さ、凹凸振幅偏差等)をデータサンプルリングできる状態にある。 (2)に関しては、用途地域を性格別に分けた区分用途地域(住居地区、産業地区、店舗地区、事務所地区、自然保護地区)における竣工後10年以上(目標値)経過している景観構成要素としての仮囲いに着目し、外壁材料の耐久性・素材感・需給特性等を考慮した上で画像解析によるシミュレーション試料による官能検査を行い、仮囲いに対する意識調査との関係を検討し,地域特性に応じた仮囲いの色彩特性のあり方を提案した。
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