| 研究概要 |
本研究は、建築物が環境・景観造りに寄与し長期に渡り社会的役割を果たしていくためは、建築物の構造材料的な性質のみではなく、外装材の色彩特性の影響を考慮することが必要であるという前提に立ち、周辺環境との色彩的調和を考慮した建築外壁材料におけるエイジング特性の評価手法を明確にすることを目的とした検討を行った。以下に本研究により得られた知見を示す。
1)建築外装材として印象評価が良いとされるタイル・レンガ・石材に着目し、外壁素材レベルとその集合である外壁全体レベルについて、写真測光法に基づいて色彩情報を収集した。そして画像解析によるシミュレーション試料の官能検査により,エイジング感及び好ましさに及ぼす色相、明度、彩度、目地の種類、光沢度、観察距離等の影響を明らかにし、景観材料としての色彩特性とエイジング効果との関係を明らかにした。
2)都市景観を構成する建築外壁面のエイジング特性を評価する場合、天候や観察距離などに起因する色彩情報によりその印象評価は相違する。既往の研究により、エイジング効果が高いと判断されるれんが仕上げに着目し、印象評価に影響を及ぼすと考えられる色彩情報(明度、コントラスト、集中度)を変化させた各種モザイクパターンを持つ外壁面の模擬試料を作成し、エイジング評価に及ぼす影響を評価した。その結果、平均明度が及ぼす影響は大きく、長期使用後においても、低明度で落ち着きがあるような色彩特性の材料を選定することが望ましいとする結果を導いた。
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