工業生産材料や先進国型建設技術の導入が難しい地域における現地調達可能な構造材料と技術による構造システムの研究と開発・提案を目的として、特に東南アジアを中心とした発展途上国の人々の住環境整備に必要な構造技術に重点をおき、地球上どこでも入手可能な土(砂)を化学的に固結させたハイブリットソイルブロックの開発とそれを使用した構造システムの調査・研究・開発を行った。 平成12年度は、東南アジア(ラオス南部)でのソイルブロックを利用した小学校建設を通して現地材料・技術の調査を行うとともに、中国内モンゴル地域とシルクロード(敦煌、トルファン)の土の利用と伝統的な建築及び現地建築技術の調査を行い、並行して文献による構造材料としての土および煉瓦の研究をおこなった。 平成13年度は、タイから輸入したソイルブロック製造装置の性能評価、山形および東北地方産出のソイルブロックに使用可能な土の調査を行い、サンプルを取り寄せてテストピースの作成と強度実験をおこなった。また、中国南西部の少数民族の伝統建築技術及び版築による客家土楼建築の調査を行い、ソイルブロックによる建築システムへの応用を研究した。 平成14年度は、山形県で産出する粘土を主材料としたソイルブロックの強度実験を固化材、砂、水の量を変えて行い、山形県でのソイルブロックの実用化の可能性を探るとともに、これまでに建てられたラオスの小学校のソイルブロックの経年変化を現地調査し、建設現場でラテライトソイルブロックのテストピースを作成し強度実験をおこなった。また、ラテライト土の成分分析を依頼し、セメントにかえて消石灰や籾殻灰を固化材として使用し補強材を混入したソイルブロックテストピースの強度実験を実施して、ソイルブロックの改良の可能性を調査した。
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