本研究は、偏心の影響の大きい壁梁が柱に偏心して取り付く場合の接合部の力学的挙動、特に接合部耐力を実験的に検討するものである。接合部破壊する試験体を偏心させ(偏心距離と柱幅の比が0.35)、振れ挙動に最も影響を与える柱と接合部の補強筋量及び、柱の全鉄筋比を実験変数とした。接合部耐力について実験的、理論的に考察すると共に、そのための比較検討資料として、偏心量の小さい一般的梁せいである普通梁の梁・柱接合部実験も行った。結果として以下のような知見が得られた。 1 偏心接合していない場合に、接合部破壊する試験体が、偏心接合すると、壁梁取り付き側柱部分で局部的に破壊し、実験変数の柱耐力に対する接合部補強筋量と柱主箭量の影響は、小さい。壁梁が偏心接合した場合の柱の耐力について、複合応力下の破壊条件式で評価できる。しかしながら、同様な破壊条件式では、接合部耐力は、接合部純ねじり耐力が不明のため、評価できない。 2 壁梁が偏心接合していない接合部終局強度は、接合部を柱の一部と見なした柱せん断強度式で評価できる。 3 普通梁が偏心接合した場合、摂れの影響が小さいため最大耐力は、振れを含む複合応力下での破壊条件式又は、有効幅を用いた従来の接合部耐力式で評価できる。 4 3次元弾塑性有限要素法解析から、偏心した場合、接合部域の応力分布の偏りと、柱に比べて接合部で振れ変形が大きくなること、及び梁取り付き側接合部部分に最大圧縮応力が集中することが分かった。
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