研究概要 |
1.平成12年度の実験結果より,以下の点を把握した。 (1)高靭性型セメント系複合材料を用いた試験体は,鉄筋コンクリート造試験体に比べて,エネルギー吸収能力および靭性能に優れており,また,せん断ひび割れの分散およびひび割れ幅の抑制効果が顕著であったことから,エネルギー吸収材および損傷制御材としての利用が可能であることが把握できた。 (2)せん断スパン比および主筋強度を変化させることにより,曲げ耐力および剛性をコントロールすることが可能であることが確認できた。これは,コンクリート系構造の高い剛性を生かし,比較的小さな変形からエネルギー吸収を行うエネルギー吸収デバイスの実現が可能であることを示している。 2.平成12年度の実験で得られた構造性能特性より,部材の復元力特性をモデル化し,これを制振デバイスとして建物に組み込んだ構造解析を行った。1質点系モデルによる地震応答解析を行い,その制振効果を検討するとともに,耐震補強部材としての効果を検討した。 結果として,本研究で対象とした無機質材によるエネルギー吸収デバイス材を建物に組み込むことにより,そのコンクリート系構造の高い剛性を生かし,エネルギー吸収デバイスとしての実現が可能であることを確認した。
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