免震機構にセミアクティブ可変摩擦ダンパを組み込んだ制震構造物の設計法を中心に研究を行った。最下階に免震層をもつ構造物、中間階に免震層をもつ構造物の両者を対象とする。ここでの可変摩擦ダンパは、スリップレベルのみを可変とすることで、応答の大きさによらず、ほぼ相似形の履歴を描くように制御されるダンパであり、「可変スリップレベルダンパ」と呼ぶこともできる。既に、このダンパについては、各層への設置を想定した簡潔な制御則を提案しているが、ここでは免震層にのみへの設置を前提とする。 免震構造物では、免震層より上部の各層応答加速度がほぼ同様となることを利用して、免震層応答加速度をもとにスリップレベルを切り替える制御アルゴリズムを提示した。このダンパを免震機構と複合することで有効な能動型の制震構造物となる。この制震構造物の特長は以下の通りである:(1)免震層の加速度によってほぼ上部構造の加速度応答値を代表できるので、免震層の絶対加速度計測のみで制御可能となる;(2)上部構造の動特性の変動・ばらつきや、免震層動特性のばらつきの影響を受けにくいロバスト性を期待できる。 中間階免震のアクティブ制震化に関しては、セミアクティブ可変摩擦ダンパとの組み合わせにより、応答低減効果をより向上させるための、構造物全体としての設計のあり方に関する検討を行った。
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