異方性材料からなる積層構造要素の力学的特性に関する研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12650591
• 研究機関: 摂南大学
• 研究代表者: 松永 裕之 摂南大学, 工学部, 教授 (70026095)
• キーワード: 異方性弾性材料 / 積層構造 / 高次変形理論 / せん断変形 / 厚さ変化 / 応力分布 / 振動 / 座屈

研究概要

直交異方性弾性材料からなる積層梁について、静的ならびに動的な力学的特性の解明を中心に研究を進めた。変位成分を梁丈方向座標の無限ベキ級数に展開する手法により、ひずみや応力などの力学的諸量についても同様に無限ベキ級数で表す。展開ひずみ一変位関係式を用いて仮想変位の原理あるいはハミルトンの原理を適用し、1次元高次梁理論として静的ないしは動的問題の基礎式を厳正に導出した。一方、直交異方性材料についての3次元材料法則を用いて積層梁の梁丈方向に積分することにより、1次元高次積層梁理論の基礎式で使用する高次断面力成分と変位成分の関係を誘導した。これらの基礎式は、積層梁の1次元的な取り扱いに除し、任意の荷重状態や境界条件について一般的に利用できるものである。次に、1次元高次梁理論の結果を用いて、積層梁の上下表面ならびに積層梁内部の応力状態を精度よく求める手法を提示した。構成式から求めた軸方向応力を用いて積層梁の3次元弾性体としての釣合い式を積分することにより、積層梁の解析では重要なせん断応力および梁丈方向の垂直応力の分布を精度よく与える基礎式を誘導した。1次元高次梁理論と3次元弾性理論との結合により、積層梁の力学的特性を解析する手法は3次元弾性理論を直接用いる場合と比べて計算量が格段に少なくて済み、結果の精度も十分であることから非常に多くの層からなる積層梁の解析に適していると云える。
上記の手法を適用して、単純支持直交異方性積層梁の静的問題および振動と座屈の問題を解析した。梁丈方向に層が対称または非対称に配置された任意の積層梁について、種々の材料特性に対して自然振劾数、座屈応力および各層内での詳細な応力分布を精度よく求め、従来の古典梁理論や第一次せん断変形梁理論などに基づく結果ならびに3次元弾性理論の結果と比較して、計算量に対して精度がよく、この手法が実用的にも十分有用であることが示された。

研究成果

• [文献書誌] Hiroyuki MATSUNAGA: "Vibration of cross-ply laminated composite plates"Proc.SEMC 2001 International Conference on Structural Engineering, Mechanics and Computation. 241-248 (2001)
• [文献書誌] Hiroyuki MATSUNAGA: "Vibration of multilayered angle-ply composite plates"Proc. 3-ICTWS International Conference on Thin-Walled Structures. 491-498 (2001)
• [文献書誌] Hiroyuki MATSUNAGA: "Vibration and stability of angle-ply laminated composite plates subjected to inDlane stresses"International Jounal of Medchnical. 43(8). 1925-1944 (2001)
• [文献書誌] 松永裕之: "弾性起訴上の長方形厚板の振動解析"日本建築学会大会学術講演梗概集(関東)20169. (CD-ROM). (2001)
• [文献書誌] Hiroyuki MATSUNAGA: "Vibration and buckling of multilayered composite beams according to higher order deformation theories"Journal of Sound and Virbation. 246(1). 47-62 (2001)
• [文献書誌] Hiroyuki MATSUNAGA: "Interlaminar stress analysis of laminated composite beams according to glob al higher order r de form ation theories"Composite Structures. 55(1). 105-114 (2002)