本研究は、使用性能評価の2大項目であるたわみとひび割れとについて整合化を図ることを最終目標とし、長期に及ぶ常時荷重下におけるたわみとひび割れ幅との相関を明らかすることを目的とする。 (1)短期載荷実験の結果:短期載荷時におけるたわみの進行とひび割れ幅の増加や鉄筋歪の進行とひび割れ幅の増加はスラブ、梁共に直線状となるような関係を示した。 (2)両端を拘束した場合の短期載荷実験結果:純曲げ区間と端部付近のひび割れ幅は、たわみやひび割れの進行に対して、中央部下端筋の鉄筋歪が降伏点歪前後まで、スラブ、梁の区別なく、直線状の関係を示した。特に、端部に生じたひび割れ幅は純曲げ区間のそれの2〜3倍近くになった。 (3)持続載荷実験結果:3等分2点集中荷重を受ける両端単純支持試験体の経過日数約60日間の長期持続載荷実験の結果についてまとめた。 (1)持続載荷下における純曲げ区間の平均ひび割れ幅と経時たわみとの関係、および平均ひび割れ幅と鉄筋の平均歪との関係は、各試験体別に見ると、直線関係にあることが認められた。しかしながら、スラブ試験体の4体はその直線状の傾きが、載荷レベルの大きさに関係なくほぼ同じ傾向を示しているが、梁試験体の4体は試験体ごとにその直線状の傾きが異なる。 (2)各試験体の純曲げ区間に発生した全ひび割れの経時変化は、すべてのひび割れの幅が一様に増加するのではなく、1部のひび割れ幅が増加し、他のひび割れ幅は増大していない。 今後、本実験の一連の研究の成果を踏まえて、たわみとひび割れ幅の相関について解析的に検討し、その相関の視点から、たわみ制御とひび割れ制御との系統化を検討する予定である。
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