研究は順調に振興している。平成12年度には、7月29・30日に福井大学構内にてカツラとイチョウ、8月2日〜5日には仙台市榴ヶ岡公園にてケヤキとサクラ、8月23日に福井市フェニックス通りのプラタナスの屋外の温熱環境形成効果の実測を行った。これらの街路樹は全国的にも数多く植栽されているものである。測定項目は、各街路樹における日向と木陰の気温、地表面温度、グローブ温度、日射量、葉面温度等である。街路樹が夏季の屋外温熱環境を緩和することを確認すると共に、特にこれらの代表的な街路樹の形態の3次元モデル化を行い、夏季における日陰領域と樹冠の日射通過距離のデータベースの作成を行った。更に、日射透過量より、各街路樹の葉面積密度と消散係数の値を同定し、データベースの作成を行った。上記測定結果、データベースの結果を要約すると、(1)イチョウやプラタナス等樹冠が円錐形に近い街路樹では、日射通過距離の大きい箇所(陰の深い箇所)は樹影の先端に近い所に生じ、サクラやケヤキ等樹冠が球形に近い街路樹では、日射通過距離の大きい箇所は、樹影の中心に近い所に生ずる。(2)日射透過率は、木陰部においてはどの街路樹も10%以下である。(3)すべて街路樹において葉面積密度×消散係数はほぼ0.4前後の値を示した。但し、イチョウやプラタナス等1枚の葉の面積が大きい街路樹ほど、この値が大きい傾向があることが明かとなった。
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