ICBEN(International Commission on Biological Effect of Noise)TEAM6(Cmmunity Response to Noise)によって共通の方法を用いて騒音のうるささに関する国際標準尺度の構築するための国際共同研究実施された。日本語と英語の標準尺度はそれぞれ「非常に、かなり、多少、あまり・・・ない、全く・・・ない」と"Extremely、Very、Moderately、Slightly、Not at all"である。騒音に対する反応にはこれらの程度副詞だけでなく、これらが修飾する「うるさい」や"annoyed"といった基礎評価語にも影響される。 本研究は、日本(熊本)、オーストラリア(シドニー、メルボルン)、アメリカ(NASA)で日英の標準尺度と被験者が受ける印象が異なる3種類の質問文を用いて、16種類の騒音を暴露して評価させる実験と10種類の想像上の騒音問題と22種類の生活環境問題を評価させ、質問文間および言語間で比較したものである。被験者は日本では熊本大学の202人の学生、オーストラリアではシドニー大学の36人の学生、メルボルン大学の63人の学生、アメリカではNASAの30人の雇用者である。 一例として日本語の3種類の質問文を以下に示す。 (1)あなたはこの道路交通騒音をどれくらいうるさく、または不快に感じるでしょうか。 (2)この道路交通騒音はどれくらいうるさい、または気になるでしょうか。 (3)あなたはこの道路交通騒音によってどれくらい悩まされますか。 その結果、騒音に対する日本語と英語の不快感反応に、質問文の影響がないこと、また英語と日本語でも系統的な反応の差がないのとが分かった。すなわち、反応には質問が(1)騒音の評価であるか、(2)個人が感じる不快感であるか、(3)騒音に悩まされるかにかかわらず差はなかった。
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