本研究の目的は、採光・照明設計用昼光データおよび建築・設備設計用気象データを、気象衛星画像を用いて、全国を解像度6kmで地図状にカバーする分布地図として、1時間毎の準リアルタイムで予測し、インターネットで配信する昼光・気象データ分布地図の準リアルタイム予測システムを開発する事である。 初年度に、静止気象衛星「ひまわり」の可視画像と赤外画像および水蒸気画像によって、(1)全天日射量、(2)直達日射量、(a)全昼光照度、(b)直射照度を予測する手法を開発した。静止気象衛星の画像は1時間毎に観測されており、日本全国およびアジア・オセアニアの地域を6〜7kmの解像度でカバーしているので、各地の昼光データおよび気象データを地図状に予測することが可能となった。 次年度には、先に開発した昼光・気象データマップの精度検証のために、太陽追尾装置付き直射照度計・直達日射計、全昼光照度計、全天日射計、温湿度計、風向風速計により昼光・気象データの地上測定をおこなった。雲量は、デジタルカメラによる輝度分布・色温度分布測定装置に魚眼レンズを取り付けて測定した。同時に静止気象衛星の可視画像と赤外画像および水蒸気画像を取得して算出した昼光・気象データ分布地図のデータと、地上観測データを比較し、データ分布地図の精度を評価した。さらに、他地域における精度の検証として、CIE(国際照明委員会)のIDMP(国際昼光観測プログラム)による京都大学での測定データにより、精度評価を行った。また、申請者が開発した昼光シミュレーションプログラムに昼光・気象データマップを連結し、準リアルタイム建築環境シミュレーションを可能とした。
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