公立高等学校の多様化に対応した校舎計画を再構築するために、普通科62校及び総合学科45校を対象に研究を並行して進めた。 1.普通科高等学校では、展開授業の導入状況、保有教室等を分析すると次のとおりである。 1)選択授業の導入は、学年が上がるほど授業数が増え、選択の対象となる教科数、展開クラス数も多種になる。習熟度別授業の導入は、数学と英語が主であり、学年が上がるほど少なくなる。 2)普通科でも展開教室を保有している学校はかなり多い。教室の使用状況をみると、専門外の科目での使用が見られ、教室数の不足を反映している。 3)展開授業では、教室の規模を決定する要因として、展開クラス数に対する講座数の割合(展開比)が各講座の受講数との関係を検討し、展開比2以上では20人規模の小教室、展開比2未満では25人規模の中教室、展開比が1以上では、50人規模の大教室が必要であることを示した。 2.総合学科高等学校では、展開授業の導入状況、保有教室等を分析する次のとおりである。 1)学校毎にばらつきが大きいが、1年生は必修科目が多いため展開授業が少なく、2、3年生は選択科目が中心で展開授業が多くなる。習熟度別授業の導入は、1年生の数学、英語、国語の必修科目でみられる。 2)総合学科でも展開教室を保有している学校はかなり多い。 3)展開講座の受講人数は40人以下で、展開教室として必要な受講者数では30以下で分布しており、展開比2未満では20人を越えるが、展開比2以上では20人を越えないので、展開授業は中規模の教室で対応できる。 4)総合学科では、実習室を必要とする場合もあるため、系列は内容から11分類できるが、実習室の特性からは5分類でき、それぞれについて保有数を整理した。 3.普通科、総合学科共に現行の時間割から特別教室等の専門外の科目による使用を避けるように考慮し、必要展開教室数を算出する方法を検討した。
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