本研究では学校の緑環境(動植物の生息空間としてのビオトープ空間や緑地空間)がまち(村)づくりと環境教育にどのような効果が期待できるか検証し、具体的な整備に向けた計画的指針を得たいと考えた。 以上の認識が研究を進める背景であり、環境整備に関心が向けられている現在こそ取り組まなければならない、緊急な課題と位置づけた。 筆者はこれまでの研究成果として物理的な緑環境の実態を踏まえ、望ましい緑環境の数量的な指針を得た。今後は、まちづくり、学校づくりのソフト面、つまり、緑環境の効果を具体的に提示し、緑環境の必然性、必要性に関する視点を示す必要があると考えた。 そこで特に、生活科や総合的学習の教材としての利用、学校のみならず地域の中での緑環境としての憩いや癒し空間の効果など、施設整備計画の視点を探ることを本研究の目的とした。 研究成果は第1章 小・中学校の樹種、緑量、緑被率等の実態分析、/小・中学校施設の緑環境と都区部における緑化基準の比較分析、第2章 小・中学校における緑環境の実態と模型シュミィレーションによる印象評価、/小・中学校の緑環境の実態と遊び場比較、第3章 シンボルとしての緑環境の配置と形態について、/小・中学校と神社との隣接形態とその利用状況から見た複合利用の可能性について、/千屋小学校及び首都圏における小中学校の並木の実態について、第4章 学校緑化コンクール受賞校におけるその後の活動実態について、/沿道空間としてみた小学校の緑環境の評価とその環境を利用した教育効果について、でまとめた。以上の成果は何れも日本建築学会に発表したものである。
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