研究概要 |
本研究は,子育て期以降の世代を,「壮年期(就業面では第一線を退きながらも十分に自立的生活が可能な世代)」および「高齢期(加齢による心身の老弱が顕在化し自立的生活が困難となりつつある世代)」とした上で,その「ライフスタイル」について「都心居住」の可能性から探ることを目的とした。初年度(平成12年度)は,予備調査を実施し,得られた知見は以下である。 1.サンプリング調査の対象は,「四谷界隈」定住者で,年齢が60歳以上の男女とした。 2.ヒアリング調査の項目は,居住歴,現在の家族関係,就業の有無と状況,日常の生活時間と外出行動,非日常の生活と外出行動,趣味・生き甲斐・生活目標,健康状態等である。 3.調査結果から,壮年・高齢期のライフスタイルとして3タイプが類別された。 「在宅活動型」家事を任され,家にいる事が多く,家の中で身体を動かしているタイプ。 女性に多く,他の家族の状況(寝たきりの同居人)によって生じやすい。 「外出活動型(趣味・娯楽中心)」外出行動が頻繁で,広い行動範囲をもつ。外出目的は習い事・学習・観劇などの自己実現的な趣味・娯楽で,それらを日課とするタイプ。若い世代からの外出先を温存する傾向もみられる。 「外出行動型(仕事・地域活動中心)」外出行動が頻繁であるが,その目的は仕事や地域活動が中心で,行動範囲は比較的限られている。居住地に密着した行動をもつタイプ。 4.「都心居住」の利点を最も享受しているのは,「外出行動型(趣味・娯楽中心)」である。 5.次年度は,上記成果をふまえ,都心の集合住宅居住者を対象に,アンケート調査を実施する。その際には,各ライフスタイルと住宅内部の特徴等についても明かにしたい。
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