近年、ワークショップや市民懇談会等への直接的住民参加率は極めて低く、そのため、インターネット(以下ネット)における参加促進が期待されている。そこで、参加促進手段としてのネット利用実態を調査した。都市マスタープラン(以下都市マス)の情報発信は、平成13年2月現在、検索エンジン「地域発見」によると自治体数106である。平成10年11月では55である(小林・日端(慶応大))。電子自治体化が進むなか、この3年で倍増程度である。情報提供時期は策定中35、策定済み71。都市マスを情報提供する自治体は増えているが、策定過程を公表する自治体はさほど増えずにいる。また、積極的に住民の意見を収集しているとは言えない。先進事例の大和市・藤沢市の分析を、ネット上での概観、担当者ヒアリング等によって行った。大和市は策定協議会等に提出された試案をWebにも同一情報を同時提供した。また、メールによって住民の意見収集を行なった。策定過程の設計段階からネット利用を組み込んでいる。情報提供に限らず、住民からの意見対応も即時性に留意している。そのため、意見数も非常に多い。しかし、住民とのコミュニケーションの継続性は限界であり、後の総合計画策定には電子会議室形式をとる。藤沢市は電子会議室を都市マス策定に利用した先進的事例である。策定過程において会議室利用を当初から設定していたわけではない。住民の発言数は特に多くない。これは行政側の参加がないことが要因のひとつとされる。 住民参加促進のWebモデルを試作するに当たり、釧路市都市マスWebを実験的に作成した。策定後半であったため、素案の情報提供が主となった。作成上の留意点は(1)まちづくり知識や関心の低い住民へ配慮(2)理解度のレベルに応じた適切な情報量(3)行政と住民とのつなぎ役、である。アクセス量は、訪問者数は1日当たり7〜14、ページ数は3〜5である。住民への周知は広報誌、市民フォーラム、釧路市のトップページからのリンクにとどまり、積極的広報活動が必要であった。情報の分かりやすさに関しては評価されているが、住民意見が極めて少ないことが問題点である。これは計画策定後半での情報発信と、広報不足、情報の更新不足によると思われる。
|