本年度は、先進事例の大和市・藤沢市の分析、予備実験としての現実の釧路市都市計画マスタープラン(以下都市マス)策定Webの評価等をもとに、住民公募によるインターネット(以下ネット)利用の仮想都市マス策定の実験を行った。 対象は前年度の現実の釧路市の策定と比較検討するため、仮想釧路市とした。また、計画案策定は住民にとって参加が容易である地域別構想を主とした。実験参加は公募住民の他、市の担当職員、計画関与のコンサルタントにも依頼し、可能な限り住民と行政の双方向性に留意した。著者は計画案策定を援助し、電子会議室を運営するNPOの役割を演じた。 策定プロセスは、策定の初期段階からネット利用を主としてデザインし、住民の参加促進方法を検討した。すなわち、参加者同士が現実の場で議論する機会を設定しない、ネットのみの実験計画を立案した。コンテンツはネットによる広報のあり方、住民のまちづくり学習、地域問題発見の支援、電子会議室による地域別構想の議論および案作成に関わるものである。実験参加者には仮想まちづくりに限定せず、実験に対する評価も依頼し、著者の独善的研究にならないよう配慮した。 実験成果として、 (1)ネット利用の住民参加に関して、まちづくり学習支援、問題発見支援の効果は高いが、計画案作成のための議論は現実のワークショップ併用が必要であること。 (2)電子会議室はテーマを設定した時限をつけた議論が効果的であること。また、進行役が重要な役割を持つこと。 (3)参加促進は住民とのやり取り、すなわち、コミュニケーションの継続が重要になること。 (4)Webデザインにおけるユーザビリティの良し悪しは参加促進を左右すること。 があげられた。以上から、住民参加を促進させるWebモデルの基本型を提案した。
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