14年度の主な研究は1)群馬県内の全マンションリスト作成のための訪問確認調査、2)地方都市に於けるマンション事情の実態資料把握と比較分析及び過去の研究の補足である。 1)については行政では全く把握しておらず明細地図等を参考にして現地探索を実行した。主な調査結果は以下の通りである。 (1)群馬県内のマンション件数は160件、約1万戸であり、内半数がバブル経済時の1991〜1993年の4年間に集中した。この時期に多かった投資用住宅が維持管理を悪化させていた。 (2)マンションの歴史が浅いこと、絶対戸数が少ないことから行政も、住民も、弁護士や建築士等の各種専門家も関心と経験が乏しくマンション管理の社会的サポートの仕組みがないため、不良化するマンションが多かった。 (3)地価が低いものの1棟型の高層住宅の計画が多く、さらに県内の交通事情から駐車場の設置比率が高いため、敷地には緑が乏しく、外部環境計画の貧しさが目立つ。機械式駐車場が多いものの十分な駐車場料金を徴収できないなど管理上の問題が目立つ。 (4)中古価格は立地や維持管理の良し悪しを反映せず、築後の経過年数の影響が強い。 2)の調査では多数の自治体の資料を得たが、比較として分析したデーターは熊本市、千葉市、横浜市、群馬県などである。千葉市、横浜市の場合は団地計画が近年に近づく程少なく1棟型マンションが増加している。民間マンション主流の横浜市の場合、30戸以下のマンションが全体の4割以上を占め、小規模マンションの管理問題が多い事を推測できる。群馬県では30戸未満のマンション数は2割程度で意外と少ないものの100戸以上のマンションは極端に少ない。これは管理のリーダーとなる事例が少ないことを意味する。
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