本年度は最終年度にあたるため、過去3年間で蓄積した研究成果の取りまとめと補足作業を中心に研究を進めた。以下、本年度実施した具体的内容を摘記する。 (1)ニューヨーク市対象3地区の都市建築史研究(ミッドタウン、ローワーマンハッタン、ブロンクス) 文献資料、地図史料、不動産資料、写真資料のうち、不足部分を現地にて収集し、主として19世紀から20世紀にかけての地域形成史を明らかにすることができた。 (2)ニューヨーク市対象3地域の都市社会史的研究 当時の新聞資料、文献資料で未入手情報を補った。これによって、当該3地域の都市社会、とくに移民地区の形成、劇場地区を中心とした繁華街の形成、金融を中心としたファイナンシャル・ディストリクトの成立の背景となる社会を解明することができた。 (3)メディア情報の発達と展開 19世紀から20世紀にかけて発達した新聞、雑誌、フィルム、ラジオ、テレビなどのメディア情報に注目し、それらがいかに都市情報を再生産し、普及させたかを解明した。本年度はとりわけ近年の研究成果の摂取に努めた。 (4)専門家へのインタビュー ニューヨーク、コロンビア大学教授Richard Plunzを訪問し、ニューヨークの郊外発展、とりわけブロンクス地区に関する専門的知識と資料の提供を受けた。 (5)ミニシンポの開催 コロンビア大学Richard Plunz教授、Henry Smith教授を交えて、当該テーマに関するシンポジウムを3月に開催した。
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