1.平成13年度は、東南アジアの5都市、バンコク・ホーチミンシティ・ハノイ・プノンペン・ヤンゴンの5都市とソウルと台北の計7都市を調査してまわった。平成11年夏に、本研究の事前調査として北京・天津・上海をまわり、平成12年度にはハルビン・瀋陽・長春・大連・青島・香港・マカオ・シンガポール・クアラルンプールの9都市をまわっているので、結局東アジアと東南アジアの19都市を調査したことになる。現在、これらの調査で得られたデータを鋭意整理中である。 2.平成13年度に調査した7都市のどこでもアール・デコの建築の現存例は見られたが、旧フランス植民地だったホーチミンシティ・ハノイ・プノンペンは期待したほど多くはなかった。これらの都市にはむしろアール・ヌーヴォの遺構の方が多く見られた。考えるに、東南アジアの諸都市はアール・デコの盛行した1920-30年代の建設活動がそれほど盛んではなく、むしろ19世紀末から20世紀初頭にかけての建設活動の方が盛んだったようである。 3.アール・デコはフランスと直接につながるように考えられがちだが、東南アジアの都市よりも東アジアの都市の方にその実例が多く見られることから推察されるように、フランスとの関連はそれほど強くなく、むしろインターナショナルなスタイルと見なされるべきことを実感した。 4.現在のところ、まだ成果の発表はしていないが、平成14年度にこれまで蓄積したデータをまとめて公表したいと考えている。
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