研究概要 |
3年間にわたる研究期間を通して以下の成果を得た。 1)城下町復元のため散逸した基礎資料の調査収集とその整理・分析を行い成果を得た。収集整理した資料は古地図、絵図、写真資料及び関連する文献資料である。2)沖縄におけるこのような関連基礎資料については戦災による焼失に伴う不連続性が問題となる。それを如何に補完するか、また資料の信頼性をどう評価するかが課題となるが、設定した一定の評価基準に基づき、分類整理を行った。3)得られた資料に基づき、首里城を中心とする対象領域について、歴史的、地理的側面からその空間形成の特徴及びその成立の背景と経緯について明らかにした。なお復元のための資料の不足や対象領域の空間不連続性から本研究では復元に関連する複数の課題を設定し、課題ごとの分析を進めた。4)近世から近代にかけて集積した城下町の住み分け区分、即ち王家、士族、庶民等の階層や商業,工業等の地域区分の配置、分布が決定した歴史、地理的背景、経緯を明らかにした。5)対象領域の現在の状況は戦前と比較して大きく変化し歴史的痕跡の確認が極めて困難になっているが、城下町復原に関わる各種施設、道筋、地域境界等重要な多くの要素項目について、現在地図との照合作業を行い成果を得た。6)現地での痕跡調査や具体的な聞き取りによる確認作業を行い城下町構成のための基礎資料を補強した。以上首里城城下町の復元に向け、領域構成の全体像を組み立てるための具体的成果を得ることができた。今後CADによる城下町復元も視野に入れ、今回得られた複数の課題ごとの成果の関連性や対象領域の歴史的な空間の不連続性を確認するなどの欠落部分の補完作業を進める予定である。
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