◆今年度は、昨年度の作業を継続し「あめりか屋」の住宅作品の分析の基礎資料となる作品リストの作成を中心に行った。また、「あめりか屋」の作品の遺構の確認調査を行った。また、東京高等工業学校建築科長を経て大正中期に「あめりか屋」の顧問として名を連ねる滋賀重列の事跡調査をアメリカで行なった。以下、具体的な作業内容と今後の課題について述べる。 (1)作品リストの作成 ・これまで行なってきた「あめりか屋」の作品のデータベース化を引き続き行い、また、その加筆修正等を行なった。 ・なお、データベースの内容項目は、住宅名・規模・建設地・掲載雑誌名・掲載時期である。図版の読み込みは試みてみたが、データが大きくなりすぎ、今回は文字データだけとした。 (2)「あめりか屋」の作品の遺構リストの作成 ・近代建築調査報告書などが出版されている地域における「あめりか屋」の作品の遺構リストを作成した。ただし、報告書等のないところの情報を把握することは極めて困難であるが、京都市では、近代化遺産の調査の中で住宅の遺構調査も行なっており、その中で「京都あめりか屋」の遺構が幾つか確認されている。これらの情報の提供を依頼している。 (3)滋賀重列について ・イリノイ大学を中心とした調査で、今回、滋賀の卒業論文・修士論文の存在が確認された。注目すべきは、修士論文は「Future Development of Japanese Dwelling Houses」というタイトルで、日本の将来の住宅に関する論考であったことが明らかとなった。今後は、その内容の解読等を試みたい。
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