研究課題/領域番号 |
12650655
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
古谷野 有 筑波大学, 物質工学系, 講師 (00215419)
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研究分担者 |
大塚 秀幸 文部科学省, 金属材料技術研究所・強磁場ステーション大型磁場ユニット, 主任研究官
吉崎 亮造 筑波大学, 物質工学系, 教授 (70011137)
池田 博 筑波大学, 物質工学系, 講師 (50272167)
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キーワード | 窒化鉄 / α″-Fe_<16>N_2 / マルテンサイト変態 / 磁場誘起変態 / α'-FeN / γ-FeN / 強磁場 / 磁化 |
研究概要 |
スレーター・ポーリング曲線は電子数の変化で遷移金属合金の磁化を説明するものであるが、電子数のみならず原子間距離も磁性に影響する重要なパラメータである。磁化の大きい鉄基bcc合金の場合、原子間隔を大きくすると磁化が大きくなるので格子定数を拡大する方向の研究は新しい磁性材料を探索するために重要である。本研究課題はスレーター・ポーリング曲線の頂点近傍にあるbcc合金に窒素を添加したbccあるいはbct構造の物質を合成し、電子数、原子体積と磁化の関係を調べ新しいバルク磁性材料を探索することを目標としている。 本年度は単体元素として最大の磁化を持つ鉄に窒素をドープしたbct窒化鉄の単相化を進めた。アンモニア窒化法でγ-FeN(窒素オーステナイト)を作製後急冷してbct構造で強磁性のα'相(窒素マルテンサイト)を得る際に問題となる残留オーステナイトを減少させるには強磁場が有効であることを我々は見いだした。今年度より金属材料技術研究所ハイブリッドマグネットの35T定常磁場共同利用が始まったので磁場誘起マルテンサイト変態による更なる単相化を試みた。9.8at.%Nのγ-FeNに4.2Kで35T印加すると残留オーステナイトは8%程度に減少し、試料の自発磁化は室温で220emu/gと純鉄に等しくなった。この結果はα'-FeNの磁化が純鉄より大きいことを示す直接証拠である。また、35T試料を粉砕・120゜C熱処理して窒素を規則化した試料を(財)高輝度光科学研究センターのSPring-8放射光のBL02B2粉末回折装置で粉末X線回折実験を行った。現在、島根大学総合理工学部物質科学科大庭研究室で構造解析が進められている。 本年度の予算で高周波加熱装置を導入し、来年度以降に用いる母合金の作製が可能となった。
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