本研究では太陽光電気エネルギー変換システム膜の創製・高性能化を目指している。統合すべき機能は・光熱変換機能、・熱電気変換機能である。 そこで、13年度は12年度に行ったCo-Sb二元系における余剰Sb昇華による熱電材料CoSb_3ナノボイド高密度分散膜の作製と熱電特性評価に引き続き、Co-Sb-N三元系におけるCoSb_3組成近傍膜の真空熱処理時の脱窒素によるCoSb_3の作製を行いナノボイド高密度分散膜の構造をスパッタ時の窒素ガス分圧、Co-Sbターゲット組成により制御できる事を見出した。出力因子が従来報告されているバルクCoSb_3と同程度であることから、ナノボイドによる熱伝導率の低減が予想され性能指数の向上が期待できることが分かった。 AlターゲットをArにN_2を混合したガスによりスパッタした場合に十分に窒化されてAlNになる以前の不完全な窒化条件において高い光吸収率を有する膜が合成できる事を新たに見出した。その要因は膜がAlとAlNの混合物から成る適度な吸収媒質である事、並びに膜成長に伴って増大する凹凸により傾斜屈折率が実現し反射率が極端に減少するからである事がわかった。 赤外線カメラを用いた薄膜の熱拡散係数評価装置の作製は完了し、SUS304等の測定に適応した。その結果、本手法では誤差2(8160)163%で測定可能である事が分かった。熱電材料膜への直接的適応は自立膜作製が困難なために今後更なる工夫・検討が必要である。
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