本研究では光熱電気エネルギー変換システム膜の光熱変換機能、熱電気変換機能に対してメゾスコピック組織制御を行い高機能化を図った。 光熱変換膜としてナノ構造形態Ag分散MgO膜及び、不完全窒化アルミニュウム膜を検討した。Ag分散MgO膜ではAg膜厚を増加させると超微位子、島状膜、迷路状膜、連続膜と形態変化し、これに呼応して可視領域吸収から、可視・近赤外吸収、そして金属反射特性の光学特性が変化した。これらの特性を基に波長選択性を有し熱安定性に優れた傾斜機能積層膜を設計・製作した。その結果、典型的動作温度である373Kにおいて光熱交換効率0.72(AM1)、0.66(AM1.5)、0.59(AM2)を実現できる事を示した。又、A1-N不完全窒化スパッタ膜においては、A1とA1N混合による適度な吸収媒質が実現しており、加えて膜成長と供に増大する表面凹凸に起因する傾斜屈折率が反射率を低減することが要因となって大きな太陽光吸収率0.95(AM1)を示す事を初めて見出した。 CoSb_3熱電変換膜ではCo-Sb-N膜を作製し熱処理による脱窒素を行い熱電特性及び構造変化を調査した。その結果、熱伝導率低減に効果的なフォノン散乱中心としての高密度空孔または高密度粒界等のナノ構造を膜中に導入する組織制御が実現できる事を実証した。又、膜の熱拡散係数測定のために、赤外線カメラにより温度画像を撮影しその解析により評価する装置を製作し、実際にSUS304を試料として解析手法を確立し、その有効性を示した。
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