研究概要 |
申請者の考案したアルミニウム(Al)粉末の浮上式窒化法は,連続流通式の窒化反応である.Al粉末が反応器の高温部に3秒前後滞留するのみで,0.1μm径の高純度窒化アルミニウム(AlN)微粉末が連続合成できるところに特徴がある.Alの直接窒化反応は発熱反応であり,且つAlNが窒素を吸収する加成反応であるため,通常のアルミナの炭素粉末による吸熱反応の還元窒化反応よりもエネルギー収支および物質収支からして極めて有利である.なお,AlNセラミックスは,集積回路の絶縁・放熱基板材料および半導体のヒーター絶縁材料としての応用が著しい現状にある. 本研究では,A1粉末の浮上用と反応用に窒素ガスを用いる場合にAlN微粉末と表面が粗なウィスカーが生成し,窒素とアンモニアガスの混合ガスを反応に用いる場合,表面が滑らかで透明なウィスカーが得られることを見出した.表面が粗なウィスカーは焼結性に富むのでウィスカーとAlN粉末との複合化によりウィスカー強化AlNセラミックの作製に適し,AlNセラミックスの約1.5倍の強度を有する高熱伝導性AlNセラミックの作製が可能であることが分かった.透明なAlNウィスカーは焼結性に劣るものの,強度と熱伝導性に優れるので,樹脂用の強化材料(高熱伝導・高強度樹脂複合材料)に適することを見出した.また,本浮上式窒化法を用い,未反応Alを含む生成粉末を合成し,次いで,充填層での窒化反応を行う(2段階窒化反応法)ことにより,生成AlN粉末の粒径が広く変化させることができ,また,AlN粉末とAlNウィスカーの共存するものも合成できることが分かった.これは,複合セミックスを作製するにあたり,混合・乾燥などの工程が省略できることになる.これらの研究成果をHTCMC国際会議,PACRIM国際会議,日本セラミックス協会および日本材料学会で研究発表を行った.
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