水和ビスマス酸ナトリウム(NaBiO_3.nH_2O)を用いた水熱反応により新しいビスマス酸化物の物質探査を行った結果、以下に示すよう結果を得ることができた。 1)アルカリモリブデン酸塩の水溶液を用いた場合には220℃以上で新しい化合物であるパイロクロア型関連構造を持つBi_<6.3>MoO_<12.45>を合成することができた。このあたらしい化合物は高温で相変化を起こした。また、220℃より低い温度ではBi_2O_4、Bi_4O_7あるいはβ-Bi_2O_3が得られた。 2)アルカリタングステン酸塩の水溶液を用いた場合には140〜260℃の温度範囲では新しい化合物を見出すことはできず、Bi_2O_4、Bi_4O_7あるいはβ-Bi_2O_3が得られた。 3)アルカリクロム酸塩の水溶液を用いた場合には新しい化合物であるCrBi_8O_<15>を見出し、その結晶構造を単結晶X線回折データを用いて解析した。その結晶構造は酸素原子によって7配位から9配位されたビスマス原子と(CrO_4)^<2->から形成されたシートが積み重なっていた。このような結晶構造は水和ビスマス酸ナトリウムを出発物質とした水熱反応によって合成されるHBi_3(CrO_4)_2O_3の結晶構造に類似していた。 4)硝酸マンガンあるいは硝酸鉛の水溶液を用いた場合にも新しい化合物を合成することができ、現在その結晶構造を解析中である。 水熱反応以外でもMgO-Nb_2O_5-Bi_2O_3系において新しい化合物を見出し、その結晶構造を解析中である。
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