研究課題/領域番号 |
12650673
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
松下 純一 東海大学, 工学部, 助教授 (50281746)
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研究分担者 |
安田 榮一 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (70016830)
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キーワード | ホウ化物 / セラミックス / C / Cコンポジット / 耐酸化性 / 酸化 / 酸化膜 / 保護膜 / カーボン |
研究概要 |
本研究では、ディッピングによる含浸法を用いて、C/C複合材料(炭素繊維強化炭素複合材料)の表面にSiB_6を被覆し、優れた耐酸化性能を付与することを目的とした。この方法の特徴は、C/C複合材料を直接溶液に含浸させるために複雑な形状物にも適用できる点にある。そして、ホウ化ケイ素の中でSiB_6は、炭素と高温時においてSiC、B_4Cを形成し非常に強固な酸化保護膜になり得ることが期待できる。さらに、SiB_6は、酸化により表面に酸化生成物として生成するB_2O_3とSiO_2より成るホウケイ酸ガラスが、高温下で優れた耐酸化バリアとして機能するので、C/C複合材料の耐酸化性能を向上させるのに適していると考え、実験開始に至った。 実験用C/C複合材料は、市販の日本カーボン製CCM-190Cを用いた。C/C複合材料はダイアモンドカッターを用いて、5×10×5mmのサイズに切り出し、アセトン中で30分間、超音波洗浄処理を行った。この試料にSiB_6を被覆するために、トリエチレングリコール中にSiB_6粉末を分散させ、含浸法により行った。含浸に用いたSiB_6粉末は純度98%、平均粒径2.5μmのものを用いた。得られた試料から分散媒であるトリエチレングリコールを完全に蒸発させるために、350℃で脱脂処理を施した。これによりC/C複合材料は、SiB_6量が試料全質量の約2.5%で、試料全表面にSiB_6粉末が被覆できた。 C/C複合材料の耐酸化性評価のために、昇温酸化実験を行った。実験は、熱質量測定器を用い、昇温速度10℃/minで、室温から1000℃の条件で行った。なお、SiB_6被覆による耐酸化性能の変化を比較調査するために、C/C複合材料、SiB_6焼結体及びSiB_6粉末の昇温酸化試験を併せて行った。 その結果、SiB_6を被覆した試料の耐酸化性能は、未処理のC/C複合材料よりも優れ、SiB_6が、C/C複合材料に耐酸化性を付与できることが明らかになった。 今後、定温酸化試験、酸化試料のX線分析および微構造観察評価などを行い、より詳細に耐酸化性の向上の可能性についての研究を行う。
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