研究概要 |
硝酸塩水溶液からの均一沈殿法や共沈法により無添加CeO_2,Nd添加CeO_2,Gd添加CeO_2を合成し、各種温度でか焼あるいは水熱処理した。均一沈殿法ではマイクロ波と通常加熱による方法で水溶液を加熱して沈殿を作製した。焼結あるいは熱処理した試料をTG-DTA,X線回折,電子顕微鏡(SEM,TEM)などにより評価した後、密度や格子定数を決定した。その結果を添加物量やか焼温度などの影響の点から調べた結果、以下のことが明らかとなった。(1)尿素と硝酸セリウムの水溶液を通常の方法で加熱した場合に生成する沈殿は主に柱状の粉末であったが、ある特定の濃度の水溶液をマイクロ波で加熱した場合に生成する沈殿は球状であることを見出した。(2)合成した無添加CeO_2を650〜1050℃の温度でか焼後、1400℃で焼結した場合、焼結体の見かけ密度はか焼温度に依存し、900℃でか焼すると最も高密度体が得られた。(3)Nd添加CeO_2を1400℃で加熱、冷却後、X線回折による同定と格子定数の決定を行った結果、0〜40mol%Ndでは蛍石型構造、45〜75mol%Ndでは希土類C型構造となること、この間、格子定数は増加することが明らかとなった。また、これらの試料の点欠陥モデルを仮定し、格子定数を用いて理論密度を計算した。それを実測した密度と比較したところ、この系では広いNd濃度範囲で陰イオン空孔が支配的な欠陥であることを見出した。(4)Gd添加CeO_2を600℃,800℃,1300℃で加熱冷却後X線回折による同定と格子定数の決定を行った結果、これらの温度においてGd添加量とともにCeO_2固溶体の格子定数は増加するが、30mol%Gd以上のところでは格子定数は変化しなかった。よって、この系の固溶限界は約25%であることが分かった。
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